トップガンは今
航空ショーで見られるアメリカ海軍アドバーサリー飛行隊のデモ



それまで軍の関係者と飛行機マニアにしか知られていなかった Top Gun の名前を突如老若男女(特に若い女性)に浸透させた同名映画が日本で公開されたのは1986年冬。
この映画は「トップガン」と共にファイタータウン・ミラマーやF-14トムキャットの名前をも有名にしたが、その後ミラマーからトップガンとF-14を含む海軍は撤退、F-14は近々全機退役する「絶滅危惧種」だ。

私がはじめてミラマーの航空ショーを見に行ったのは1997年、この時が海軍主催最後の航空ショーだった。
その頃からミラマーには、閉鎖されたエル・トロから海兵隊がなだれ込み、そして今や完全にマリーンズの基地となった。

実戦部隊のF-14は全て東海岸のオシアナに移動。同機の人気は相変わらず高く、西海岸の航空ショーでも多くの場合、オシアナから飛んできた単機のデモ飛行が見られる。

ミラマーに居た頃のトップガンは正式部隊名を Naval Fighter Weapons School と言っていた。
これと、リムーアに居たNaval Strike Warfare Centerが共にファロンに移動して、Naval Stike & Air Warfare Center (NSAWC−エヌソークと読む)になった。
現在のNSAWCはF-14A,F/A-18A及びB,SH-60Fを装備する。

常夏のイメージがあるサンディエゴ近郊のミラマーと異なり、ファロンは夏が猛暑、冬は雪が積もる高原&砂漠&盆地の厳しい環境だ。

ファロンではほぼ毎年航空ショーは行われており、NSAWCによる”Wall of Fire”のデモが見られる。
また、他の基地でもトップガンの”Wall of Fire”のデモは見ることが出来る。
ここでは1998年のリノ・エアレースと、1999年のストックトンで見たNSAWC「トップガン」のデモの様子を紹介する。
特にストックトンは無名の民間空港でのショーながら、F-14Aが3機、F/A-18が4機、SH-60F シーホークもコンバットレスキューで1機参加という、もの凄い収穫だった。
2001年にもリノ・エアレースでトップガンが見られるはずだったが、同時多発テロのおかげでキャンセルされてしまった。
2002年に持ち越された様なので今年こそ期待したい。

尚、F-5E/Fタイガーは、同じくファロンのVFC-13が運行している。
アメリカ海軍でアドバーサリー任務を行うのはNSAWC,VFC-13の他にVFC-12(NASオシアナ配備、F/A-18A使用)とVFA-203(NASアトランタ配備、F/A-18A使用)である。
F-14 Taxi

1999年のストックトンのナイトショーにて、デモ飛行の為タキシーするF-14Aトムキャット。こうしてみると巨大な機体だ。青色系迷彩と白レードムはSu-35か、或いはSu-33のロシア海軍あたりを意識しているのか?

F/A-18 Top Gun Takeoff
1998年のリノ・エアレースにて、デモ飛行の為編隊離陸するノーマル塗装のF/A-18ホーネット。
F-14 formation takeoff
ロシア海軍モドキと、イラン空軍モドキに迷彩したF-14A ×2機が編隊離陸する。
1999年のストックトン航空ショーにて。
民間主催で、観客が特別多い訳でもなく、辺境な農村地帯の真中で行われた航空ショーで何故このような超々豪華絢爛な出し物が見られたのか?未だに判らない。
Top gun - Wall of fire demo
Wall of Fireのデモは、F-14AとF/A-18Aの空中戦(ちなみにF/A-18Aが敵役)に始まり,F/A-18Aの、幾度もの地上銃撃/爆撃デモ、そして最後に大爆撃により地上の広大な範囲が炎に包まれる。
写真を拡大すると、F/A-18A×2機が飛行しているのが判る。
1998年のリノ・エアレースにて。
UH-60 landing
機銃を撃ちまくりながら着陸するSH-60F シーホーク(Bu.164089 / 71 他3枚も同機)。1999年のストックトンにて。
自衛隊の航空際でも救難展示が必ず見られ、撮り易いので結構好きなのだが、そろそろワンパターン(死語)で飽きてきたので一工夫欲しい。手始めにバートルに機銃を積んでバリバリバリッっとコンバットレスキューだ!
UH-60 takeoff
地上に落下傘降下したパイロットを救出した後、機銃をブッ放しながら急加速で離脱するという設定。
1999年のストックトンにて、日暮れ間近のナイトショーで撮影した為、太陽が低くて綺麗だ。
Top Gun F-14 and F/A-18
ショー終了後、ブレイクを開始するF-14AとF/A-18A。
1998年のリノ・エアレースにて。
F-14
上と一連の写真で、ブレイク後背中を見せて左旋回するF-14A。
1998年のリノ・エアレースにて。
F-14 and F/A-18
ノーマル塗装のF-14Aと、迷彩塗装のF/A-18Aの編隊。
1999年のストックトンの、昼間のショーにて。
F/A-18
編隊を解くF/A-18Aホーネット。
1999年のストックトン・ナイトショーにて、夕方の撮影の為オレンジ色味を帯びている。
UH-60 Top Gun
上空でF-14AとF/A-18Aが通過してブレイクしている最中に、低空ではSH-60F シーホークがアメリカ国旗を下げながらフライバイする。どっちも撮りたい。ちょっと忙しすぎるぞ。
Mil-24ハインドあたりのソ連機を意識した迷彩と機番、赤い星に対するアメリカ国旗がとってもアンバランス。
旗の下にぶら下がっている錘は、良く見ると模擬爆弾だ。
1999年のストックトン・ナイトショーにて。
F-5 Taxi
デモ飛行には参加しなかったが、地上展示されたVFC-13のF-5Eタイガー。スマートな機体だ。
冷戦最中には仮想的機Mig-21のシミュレートに盛んに使われたが、仮想敵国にもMig-29など高性能の機体が配備されるなか、F-5E/Fでは性能的に時代遅れになってきている。
1999年のリノ・エアレースにて。
航空ショー(エアレース)終了後、すぐ近くのファロンまでちょいとひとっ飛びで帰る。
F-5E Tiger Formation
編隊飛行するVFC-13のF-5E。
こうして見ると「鮫の群れ」という感じ。
全機迷彩塗装で、パターンもまちまちだ。
2002年のNASファロン・コミュニティデーにて。




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