私の住んでいたドイツ近辺の航空ショーには大小ピンキリあるが、ある程度の規模になれば旧東を含む多数国からの参加、複数のアクロチームの展示、多数の地上展示、新旧飛行機のフライバイなどは当たり前にある。 ある程度の遠出を強いられるので、なるべく大規模なショーを見に行きたいのは当然である。 では、以下の様な航空ショーはどうであろうか? ・参加は基本的に1ヶ国の空軍のみ ・アクロチームは1つだけ展示 ・展示飛行時間は正味1時間半 ・地上展示はヘリが2機のみ、飛行展示も兼ねる ・固定翼機は離着陸が見られない ・見られる機種はせいぜい10機種 ・最寄の駐車場から会場まで1時間半〜2時間歩く ・会場は逆光 ・平日に開催 スイスで毎年10月行われるAxalp(アクサルプ)の航空ショーはこんな内容である。 う〜ん、なんかショボい。余りやる気が出ないのではないか。 Axalpまでは車で6時間位かかる。会社を休んで、前泊して、そこまでして行くのか。 ....では、その会場が標高2000m、背後にはアイガーをはじめアルプスの雪山がそびえていたら? 更に、航空機からの実弾射撃デモが見られるとしたら? もう、これは登山靴に杖、チョコレート(インターラケン駅前で買ったスイスのチョコ)を持って「天国に一番近い航空ショー」に行くしかありません。
という訳で、山には4回登りました。結構ハイキングはしているのでそれなりに慣れているつもりですが、結構急な所もあります。手抜きして途中までリフトで登ることも出来ますが、せいぜい30分の節約にしかなりません。混んでるとリフト30分待ちになるので歩いたほうが早い。リフトを降りてからが本格的な登り。 で、心を無にして登ると仮設トイレや売店のある広場にでます。ここからでも見れますが(飛行機は結構近くを通る)、更に上に登った方が見下ろす様に見れます。
招待客はヘリでピストン輸送されるので、午前中はこのヘリが順光で良く撮れます。
本番はヘリのフレア発射と機動飛行、消火デモ、救難デモ、実弾射撃、編隊飛行、空中戦デモ、そして最後にパトルイユスイスの展示です。泣いても笑ってもこれだけ。
終わったら長〜い下山が待ってます。それにしてもスイス人、大人も子供も気楽に山に登ってきますね。
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オープニングはスイス空軍のAS532クーガーによるフレア放出デモ。
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前の写真の翌年に撮影。雪が少ない。
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更にその次の年に撮影。雪が殆ど無い。温暖化!と叫ぶロハスでエコな環境バカな人に言われそうだけど雪が降ってから溶けるまでのタイミングの問題。気温が上がっているのは確かだろうが化石燃料からの二酸化炭素のせいに全てするのはいかがなものか。単に長周期の気候変動じゃないのか。それを、エコブームと称して単に自分の首を絞めつつあるのが現在の日本。
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折角登ってきたけど、この日はちょっと悪天候。山の天気は予想しづらい。
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雪山を背景に機首上げで減速するAS532クーガー。
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麓から、招待客を乗せて、谷に沿って上昇して会場に向かうAS532クーガー。 10分程度の間に離着陸を繰り返すので脚は出したままだ。
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機動飛行のデモ。脚は引っ込めている。 スイスは多言語国家だがスイス空軍の表記はどの公用語でもない英語のSwiss Air Force. 会場のナレータは一人でドイツ語、フランス語、イタリア語、英語でオープニングの挨拶をする多芸ぶり。 確かに私が仕事で知り合ったスイス人にも4ヶ国語話せる人は多い。 デモフライトが始まると解説はドイツ語、フランス語、英語で行われる。
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これは帰りの下山途中に撮影したAS532クーガー。
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放水デモのため、水を入れた籠をブラさげたクーガー/スーパーピューマ。
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民間レジのアグスタA109 ありがちな遭難者救出デモも、山で行うとホンモノみたい。
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SA316アルエートV。
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急旋回して谷底をめざすSA316アルエートV。
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いよいよ実弾射撃デモの始まり。まずは右手から、F-5Eタイガーが、1秒程度発射しながら突入。
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同じくスイス空軍のF-5Eタイガー。 これは会場真上を通るコースを、ちょっと場所を変えて撮影。
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背後から突入し、崖にある標的を射撃したF-5Eタイガー。この後、急上昇して崖をかわす。
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射撃には8機のF-5Eタイガーが参加していた、ということは最後にこの編隊をみて初めて判った。
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通常はスイス空軍だけで行われるデモだが、この時はゲストとしておフランス空軍のミラージュF1が射撃に参加。
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続いてスイス空軍のF/A-18ホーネット(F-18C)による射撃が開始される。バーッという、F-5Eよりも甲高い射撃音が轟く。 機体は自分に近づきながら射撃しているので、ドップラー効果により実際よりも高い音に聞こえているはずだ。
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かなり画質が悪いが、F-18Cの射撃時の炎が写っている。 何枚も撮影した中で写っているのはこれだけ。炎を簡単に写せる黒色火薬と異なり、現代の高性能火薬は燃焼時間が極端に短い。
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こちらは丘の上にある標的。 着弾し、土ぼこりが上がっていて、炸裂しているのが判る。
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崖の標的を射撃後、山肌を舐めるように上昇するF-18C。
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雪山をバックに急旋回するF-18C。
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高速で通過するF-18C。 機首左側、機番の右下にライトが見える。夜間、国籍不明機などに並んで飛んで確認するためのものか。 カナダ空軍のホーネットCF-188にも同様のライトは装備されている。
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谷底めざして捻りこむF-18C。
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実弾射撃に続き、機動飛行デモを行うF-18C。
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同じくF-18C。機銃回りがススけている。
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スイス空軍F-18C。
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その先は壁....
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山肌の急斜面に沿うように垂直上昇に移るスイス空軍のF-18C。
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脚、フック、空中給油プローブを出して低速飛行を見せるスイス空軍のF-18C。 各地の航空ショーでよく見るが、特定の機体をデモ専用に充てている訳では無いようだ。
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本番前、朝の練習飛行(略して朝練)で撮影。私の方はまだ登山途中。
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急上昇に移るスイス空軍のF-18C。
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続いて空中戦デモ。適役のF-5Eからのミサイル攻撃逃れるため、フレアーを放出、という設定。 航空自衛隊機のフレアー放出なんて殆ど見たこと無いのに、スイス空軍は結構気前がいい。
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逃げろ!ってとこでしょうか。
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仮想敵機を演じるスイス空軍のF-5E。こちらもフレアー放出。
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ドローン射撃デモに参加したスイス空軍のF-5EとF-18C。 F-5Eの塗装はパトルイユスイスのものだが、キャノピー後ろにあるはずのチームのエンブレム及び、インテーク横のインターネットアドレスが見当たらない。
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胴体下からドローンを引き出して曳航しているところ。
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パトルイユスイス登場。スイス国旗をベースにした赤白の塗装は青空と山によく合う。
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谷間に向かうパトルイユスイスのF-5E。腹にはスイス国旗が描かれている。かっこいい。
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現在では超音速戦闘機を使う数少ないアクロチーム。デュアルソロと4機編隊が交互に登場するオーソドックスなアメリカンスタイルをベースに、ヨーロピアンタッチの編隊バリエーションを見せる。 同じく超音速機を使っていたT-2ブルーインパルスなどのように演技の間永遠に待たされるというようなことが無いのは当たり前とは言え立派。結構なGをかけて旋回している。
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パトルイユスイス、全機でパス。
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ピラミッド形の編隊でパス。
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自分のはるか下方の谷底に沿って飛ぶパトルイユスイスのF-5Eタイガー。 雪に青空が映って、青っぽい写真になってしまった。
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国土の7割が山というスイス。山間いの飛行はお手の物なのでしょう。日本も山国ですがこのような航空ショーの開催出来る場所は思い当たりません。
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北壁で有名なアイガーをバックに進入するパトルイユスイスのF-5E。 ハイキング目的ならアクサルプよりも絶対にアイガーの山ろくの方が面白いです。 アクサルプはスキー場として人気らしいですが、残念ながら私はボーゲン専門です。
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パトルイユスイスの最後のシメはフレアー発射。J85エンジンと、太陽光と、無数のフレアー。ミサイルとしてみれば、ホンモノはどれだっ?ってところですか。 右下にアイガーが見えます。
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ショーが終わって、招待客を下山させるため、お迎えのAS532/AS332 クーガー/スーパーピューマの編隊がやってきます。
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一般客は歩いて降りる。あの上にいたんですね。だいぶ降りてきました。 Fliegerdemonstrationは飛行展示の意味。注意書きはドイツ語のみですが、この先山道なのでそれなりの装備と靴で云々..といったことが書いてあります。 私の装備は登山靴、杖(両手用)、水、チョコレート、シャツ着替え、防寒具、ビニールシート(小)、カメラです。 登りは薄着で、会場に着いたら着替えて厚着。 飲み物と食事は上で買えます。ついでにお土産も売ってます。
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