ご存知、リノのエアレースである。いわゆるパイロンレースで、周回コースを回る速度を競うので、観客はレースの始終を見ることが出来る。 毎年訪問しているイベントで、2001年も楽しみにしていたのだが、結局直前に同時多発テロが起きて、レース当日はVFR(目視飛行)が許可されず結局中止。 昔は類似のエアレースが随所であり、Gee Beeを始めとするレース専用機なども作られたことがあった。 現代のエアレースはBiplane, Formula One, T-6, Unlimited などのクラスに別れている。 2002年にはL-39によるジェットクラスが追加されたが、これはやたらと静かで面白く無かった。 トロージャンクラスは機数が揃わず1998年限り。 なんと言ってもお楽しみはUnlimitedで、ノーマルや改造のムスタング、ベアキャット、シーフューリーなどが出る。 Unlimited(無制限)の名のとおり、レシプロエンジンである限り何でもアリだ。 レースだけではなく合間に行われる航空ショーの方も極めて充実した内容。 入場券は数種類売っているが、私の経験からいくと当日券自由席で充分(売り切れる事は無い)。これにピットパスを加えてピットエリアを見たり、静展示地区からレースとタキシングを見る(ここが一番滑走に近い)のがオススメ。 (注:2002年土曜日に見た時には静展示地区突端から見物人が一時追い出されてしまった。) 観覧席(Grandstand)からだとショーセンターにはなるが、自由席、指定席共にちょっと滑走路まで遠い。
|
|
Unlimitedクラスでレース中の機番11 「ミス・アメリカ」と、機番66のシーフューリー (N666HP) |
|
「伝説」の機体〜レシプロ機による速度の世界記録(3km区間の水平飛行計測で時速528.3マイル(時速845Km)を持つレアベア "Rare Bare"。 スクラップ同然のF8F-2ベアキャット(Bu.122629)を大改造した機体でレース機番は77、民間レジはN777L リノでも9回の優勝暦がある。 ただしここ数年はエンジンのトラブルに見舞われたりして飛べなかったり、不本意な結果に終わる事も。 |
|
レース機番204は外観上極めてノーマルなF8F-1ベアキャット (Bu.95255 / N41089) |
|
外観はノーマルなP-51D (44-74389 / N64824) |
|
1969年以来リノエアレース参加という長いレース暦を持つミス・アメリカ "Miss America" は P-51-D-30NA レース機番11 (44-74536 / N991R)。 これも外観上はノーマルだがマーリンエンジンは3000Hpにチューンナップされている。 |
|
ムスタングをベースに大幅改造を施し、殆ど新造と言って良いほどのレーサー、機番38はP-51R ミス・アシュレーU (N57LR)。 1998年のUnlimited Gold決勝戦で4位だった。 |
|
上と同じミス・アシュレーU 翌1999年土曜日のHEAT-3レースの為タキシー中。 尾翼の機番の色などが前年と異なる。 この写真を撮影した10数分後、最初の周回を終えたところで突然空中分解してパイロットは死亡してしまった。 |
|
レースの栄光と無念 1998年のUnlimited Gold決勝戦の為離陸した直後、エンジントラブルに見舞われ緊急着陸したシーフューリーMk.11 (レース機番No.66 N666HP)。 牽引されピットに戻る機体の上空を、レース中の別のシーフューリーが通過する。 決勝戦目前のリタイア〜パイロットはさぞかし残念だったろう。 |
|
栄光の座をかけてレースに挑むUnlimitedの機体。 Unlimited(無制限)の名の通り、レシプロエンジンなら何でもアリのレース。 従って各機の性能もマチマチで、トップの機体が周回遅れの機体を追い抜くこともある。 何機も一度にファインダーに納めてレースの雰囲気がある写真を撮るには最初の周回が勝負。 |
|
T-6クラスはSNJ/AT-6/ハーバードが無改造でのみ出場出来る。 機体はSNJ-6 レース機番47の "Frostbite" (しもやけ) パイロット名 Jack Frost に因んでいるのか。 |
|
レース中のT-6。 同じ機種でのレースなので何回周回しても大差が付かない。 その分「接戦」に見える。しかし絶対的に速度が遅く(時速210〜220マイル:時速340〜350km)、プロペラが空気を叩く音がうるさく(プロペラ先端では音速を超える)決して「快適なレース観戦」ではない。 |
|
似たような塗装で仲良く編隊飛行している様に見えるけど、実はレース中のT-28トロージャン |
|
ホームパイロンに向かいターンするT-28 6機が参加したが、時代考証が災いしてガルグレイかネイビーブルの2種の塗装しかなく、「どれがどの機?」 ナレーターも「来年は別の色に塗りなおした方が...」と苦笑していた。 結局T-28のレースは1998年限りだった。 |
|
小型アクロ用複葉機によるSport Biplaneクラスのレース。 速度は一番遅くて、せいぜい時速200マイル(時速320Km)程。 小回りを利かせて、各クラス中一番短い周回コースを回る。 ハエの様な.... 過去には日本人の上野健久氏が出場して優勝した。 |
|
新設されたスポーツクラスは5機以上量産されているキット形式の機体でFAA耐空証明取得済、排気量650立方インチ(10.6L)以下のエンジン使用という条件の機体が出場出来る。 機体形状はまちまちだ。 これは機番51の Berkut 540 で、機体のキットを製造している会社の経営者自らがPRの為レースに出場。 しかしその甲斐なく、現在は製造中止になっている。 |
|
フォーミュラワンクラスのレース。 セスナ150系に使われるのと同じ、100馬力の0-200型エンジンを搭載(制限内でチューンナップ可)翼面積66平方フィート(6.1平方m)以上、自重500ポンド(227kg)以上、固定脚、固定ピッチプロペラを装備することが条件になる。 速度は時速250マイル(時速400Km)に達する。 |
|
2002年より始まった、L-39アルバトロス を使ったワンメイクのジェットクラスのレース。 思った通り、「ス〜ッ」と飛ぶジェット機は静かで、今ひとつ迫力が無い。 |
|
こちらはヘリコプター・クラスのレースのスタート風景 (ウソです。そんなのありません) 機体は Care Flight の AS355 F2 (N30LG) |
|
ご近所NASファロンの救難用HH-1N |
|
1930年代のレーサー、GeeBee R-2のレプリカによるデモフライト。 同機は2001年に来日予定だったが.... |
|
ナイフエッジパス〜F-14の翼が空気を切り裂き、エンジンが空気を熱し巨大な陽炎を残す。 VF-101のF-14Aによるデモはほぼ毎年行われている。機体は159428 / AD-261。 |
|
西海岸の航空ショーでは常連、転換訓練部隊VFA-125のF/A-18C (NJ-301) のデモ |
|
リノのご近所、ファロンから飛来したNSAWC(トップガン/ストライク)のF/A-18B (Bu.161714 / 00) と F/A-18A (Bu.162900 / 47)。 F-14とF/A-18によるドッグファイト、F/A-18による地上攻撃など迫力あるデモ飛行が見られる。 1998年の撮影。この後、2001年にも参加予定だったがテロ事件直後の為航空ショーどころでは無かった。 2002年も参加が予定されているので期待したい。 |
|
トップガン(NSAWC)のデモはWall of Fire 2機のF/A-18が低空飛行し、地上では爆薬が炸裂し、「炎の壁」を作る。 尚、このWall of Fireの名前はトップガンだけのものではなく、ミラマーやサリナスのナイトショーでも同名の爆薬による炎の壁が見られる。 |
|
トップガン (NSAWC) によるデモが終わり、最後に上空を編隊通過してブレイクする迷彩塗装のF/A-18A (Bu.162844 / 35) と F-14A (Bu.160913 / 13)。 |
|
地上展示のみでデモ飛行には参加しなかった、VFC-13のF-5E。元空軍機で74-1530 / 03 エアレース終了後帰投時の撮影。 |
|
毎年オープニングで飛行するアラスカ州空軍 176WG のC-130H。 |
|
F-16とP-51のフライバイ。 退役した軍用機と現用空軍機の編隊飛行はHeritage Flightと言われ大戦機・現用機双方の出場する航空ショーでは必ずといってよい程見られる。 ちなみに海軍/海兵隊機の新・旧機編隊の場合はLegacy Flightと呼ばれる。 |
|
エグリン基地 33FW の F-15C-27-MC (80-0005 / EG) "Gulf Spirit" |
|
2002年に撮影した、アーカンソー州空軍(Air National Guard)のF-16がオープニングセレモニーの編隊飛行の後、高速パスを披露。増層とポッド付で迫力満点。 この時は女性パイロットも混ざっていた。 |
|
1999年に撮影した、ネバダのお隣、カリフォルニア州空軍(Air National Guard)194FSのF-16Dによるオープニングのフライバイ。 1997年のショーでは、F-16が一機づつUnlimitedのレースコースを周回した。なかなかの洒落である。 30年後くらいにF-16クラスのレース、なんて出来るのだろうか? |
|
滅多に見られないMig-21はチェコ空軍の塗装。 2000年の撮影。この写真を撮影していたら突如後ろから"Makoto-san !"と名前を呼ばれ、振り向いたらシカゴ本社から来た会社の同僚が居た。 「類は友を呼ぶ」!? |
|
Mig-17と編隊飛行するMig-21 |
|
白煙を出しながらエンジンスタートするグラマン F7F-3 タイガーキャット (Bu.80483 / NX6178C)。 レース参加機では無いので念のため。 |
|
大変珍しいホーカー・ハンター T Mk.7 (N617NL)。 オーナーパイロットは半導体製造の大手、マイクロンの経営者。 |
|
ウェイン・ハンドレーのオリジナルアクロ機 Giles G-750 「Turbo Raven」 (N17HE)。 1999年のリノで初めて見た。 ターボプロップ機でフラットスピン中に水平飛行に移れるなど信じられない飛行ぶりを見せる。 2週間後のサリナスの航空ショーで墜落してしまった。 |
|
2000年のショーではブルーエンジェルスが見れた。これはその前座のTC-130Gファットアルバート。 補助ロケットを使ったJATO離陸だが、乾季の「お約束」、ロケット炎が枯草に引火し、この後消防車が出動していた。 |