カナダや中東部でのショーが多いが、カリフォルニアまで南下してくれることもある。 ところで世界の軍のアクロ飛行チームは大きくアメリカンスタイルとヨーロピアンスタイルに分けられる。 6機以下の戦闘機を使って離陸前のウォークダウンに始まり、パワー&スピードそして轟音で観客を圧倒するのがアメリカンスタイルで、これはモロにアメリカ空軍のサンダーバーズやアメリカ海軍のブルーエンジェルスの事。 対するヨーロッピアンスタイルは多数の練習機を使い、特に編隊飛行の優雅さに重点を置く。 機数はイタリアのフレッチェ・トリコローリが最多の10機、イギリスのレッドアローズが9機、おフランスのパトルイユ・ド・フランスは8機となっている。 ちなみに日本のブルーインパルスは一応アメリカンスタイルに分類される。確かに昔は5機(浜松基地公開時だけ6機)のF-86セイバー戦闘機を使っていた。今はT-4練習機6機で、T-2の頃に比べると随分と工夫されて見栄えがするのだけど、やはり機数の多いヨーロピアンスタイルを見せて欲しかった。 さて、カナダ国防軍のスノーバーズはアメリカ大陸のチームでありながら典型的なヨーロピアンスタイル。ウォークダウンを大袈裟に見せないし、編隊飛行に重点を置いていて機数も多い。 |
1999年のストックトンにて撮影。機体は2番機、パイロットはIan Searle(イアン・シール)大尉。 |
この写真を撮影した2002年レディングでは残念ながら3機づつの離陸。最初の3機、次の3機は普通におとなしく離陸した。最後の3機は….突如両翼機が派手にブレイク。 |
念のため数を数えてみよう。1,2,3,4….8,9,10 あれっ?! 本番前日の練習飛行で、予備機を入れて10機で飛んでいた。2002年のレディング航空ショーで、会場外からの撮影。 |
結局土曜日はストックトン、日曜日にトラビスを見に行った。 |
トラビスは基地外が面白い。会場から見るよりもはるか近くをスノーバーズが飛行する。 確かにグース(ガチョウ)が首を伸ばした様な隊形だ。 |
この様にループやロール中に隊形を変える、チェンジオーバーの演技が多い。 |
この写真のみコダックのPKRで撮影。青空の発色が渋く落ち着いていてなかなか良い。でも赤塗装も大分鈍くなってしまった。アクロチーム撮影にはやはりフジのベルビアだ。 |
青空に赤塗装のコントラストが美しい。 スノーバーズ(ユキホオジロという鳥)の名前は一般公募で決められた。 1999年ストックトンにて。 |
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スノーバーズの編隊は決して目の前から消えることが無く、フィルム交換もままならない程だ。 一度編隊が通過したらフィルムを入れ変えて、レンズを変えて、会場に流れる音楽は再び頭までまき戻され、ついでにレンズの掃除をして、更に昼寝をして目が覚めた頃やっと再び登場するT-2ブルーイ○パルスとはエライ違いだ(ちょっと言い過ぎ)。 |
1999年のストックトンでの撮影 |
機数が多く編隊が大きい分、両翼端(8,9番機)の機動も大変になる。 1998年のトラビスで、場外からの撮影。 航続距離が短い(648km)チューターを使って広大なアメリカ大陸で展示飛行をする関係上、5〜10月のショーシーズンの間は各ショーサイト間を順次移動し、この間メンテの為ホームベースのムースジョーに帰るのは約4回のみ。 週末のショーが終わる度にホームベースに帰るブルーエンジェルスやサンダーバーズ、ブルーインパルスとは大きく違う。 スノーバーズにはサポートの輸送機が付かず、整備員と機材はチューターが自ら運ぶ自給自足体制だ。 |
T-2ブルーインパルスが1982年に浜松で行った航空ショーでは、下向き空中開花のタイミングが遅れた為、180°ロールしながら引き起こさなければならない4番機が地上に激突してしまうという悲惨な事故があり、以降ブルーインパルスの科目から外されてしまったのは残念。 スノーバーズの場合は観客・パイロット双方の安全の為か、会場には腹を見せて、四方に散開せず、観客から遠くなる方にのみ広がって引き起こす。T-4ブルーインパルスのレインフォールを裏側から見ている様なものだ。 |
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一見平面に見えるが機体の上下方向に僅かに差を付けている。しかしエスケープゾーンの少なさに変わりはない、緊張感のある編隊形だ。 他にカードシックス、カードセブンもある。 |
1998年のトラビスで会場外より撮影 |
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あくまでも優雅な編隊を売り物にするスノーバーズらしく、開花系の演技を最後のクライマックスに持ってこないのが謙虚だ。開花後すばやく再ジョインナップするのも印象的。 |
T-4ブルーインパルスも上面・下面がはっきり区別出来る、とてもセンスの良い塗装だと思う。是非この塗装を活かしたフォーメーションを増やして欲しい(本当は機数を増やして欲しいんだけど)。 |
2002年のレディングにて。背後はラッセン火山国立公園 |
ショーが終わった後のサイン会で、隣にいたおじさんが「交差する時のお互いの距離はどの位?」と聞いていて、ソロのパイロットが「30フィートちょっと」と言っていた。僕は一瞬聞き間違いかと思った。CT-114の全幅が36.5フィート(約11m)なのに…. でもその後確認したら、スノーバーズのホームページにも、交差の時の距離は10m(33フィート)って書いてある。恐るべし、対進交差。 ちなみに速度は各機時速600Kmだから相対速度は時速1200Kmでほぼ音速だ。 |
隊形の名前を失念してしまったけど、スノーバーズ出身のパイロットも在籍するカナダの民間アクロチーム「ノーザンライツ」がこのフォーメーションを真似てパロディにしていた。 |
ソロが分離した7機編隊から更に2機+5機に別れる。更にこの5機も分離する。 スノーバーズにはソロ一機のみの演技こそ無いものの、編隊のバリエーションは2,3,4,5,6,7,9機と、とどまる所を知らない。モーニング娘。みたいだ。 |
1999年のストックトンにて撮影。 |
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ところで米国フロリダ州にあるディズニーワールドに遊びに行かれる方は、是非エプコットのカナダ館をご覧頂きたい。360°全周方向カメラで撮影した映画は、バンクーバーといった町並みやカナディアンロッキー山脈の大パノラマと合わせて、スノーバーズの素晴らしい空撮が見られる。 |
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この角度から見ると機体上下にオーバーラップされて密集度が高く感じる。 |
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この角度からだとオーバーラップは見えないが、1番機真後ろの4番機は4方を囲まれる形で緊張も特に高いのだろう。 ブルーエンジェルスの機体間最小3フィート(90cm)には及ばないが、スノーバーズも4フィート(1.2m)とかなりタイト。 |
超音速練習機という機体の性能に振り回されたにとどまらず、ケバイ塗装を施し同じBGMを繰り返し流し、年々展示高度を上げて最後は殆ど国民に見向きもされなかった(少なくとも僕はそう感じた)どこかの国のT-2ブルーイン○ルスとはエライ違いだ。 |
ようやく日曜日のショーの終盤になって日が差し、背後の雲と合間って独特な雰囲気の写真になった。 |
しかし間隔を余り空けずに3機づつ着陸するのは相変わらず圧巻。背景はシャシタ山。 |
勿論全てのショーで行われるわけではないが、アメリカでは一箇所で金曜日の夕方と、土・日の昼間にショーが行われる事があり、金曜日の夕方にスノーバーズの素晴らしい飛行が見られる。 本当は通常ナイトショーの方が昼間のショーよりも先に見られるのだが、ページの構成上後に持ってきた。 2000年のサリナスにて、ナイトショーに向けてタキシーする1番機。こうして見ると随分とシャコタンな機体だ。胴体下のはスモーク用のディーゼル燃料を入れたタンク。 |
本当はもう少し早い時間帯にタキシーアウトする予定だったのだが、タキシーウェー近くの駐車場で、枯草に排気熱で引火、車数台が燃えるボヤ騒ぎ(これってボヤじゃあ無いよな….)があって離陸が遅れた。 燃えた車の持ち主には気の毒だが、遅れたおかげで夕日の色がピークの時にタキシーする写真が撮れた。 尾翼にはスノーバーズ30周年の記念マークが描かれている。 |
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自分の居る地表ではもはや日が暮れ、低空を飛ぶ機体にも日は差さないが、上昇をはじめると突然夕日で機体とスモークが鮮やかなオレンジ色に照らされる。 日没直前〜直後に行われるナイトショーの最大の魅力だ。 1999年のストックトンにて。 |
このあと素早くジョインナップし、開花したのが嘘の様に編隊飛行を再開する。 1999年のストックトンにて。 |
ナイトショーの科目は編隊パスとチェンジオーバーフォーメーションを中心としており、昼間のショーの簡略版なので省略される科目も多い。 |
1999年のストックトンにて。 |
正面(北)方向は何とも言えない桃色に染まる。この空をバックに、6機がエルロンロールする。撮影に使うフィルムは意地でもISO50のフジ・ベルビア。 鮮やかな発色が魅力だが見た目と違う色になることもある。 1999年ストックトンにて。 |
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日が沈んで暗くなり、長いレンズでの撮影が辛くなってきた。 しかし、サリナスの航空ショーは、アクロチームとの距離が遠目。 しょうがないのでキャノンの300mmF4L ISレンズを使い、手前に木を入れて画面構成し、ターンする編隊に出来るだけ近づいて捕らえる。 |
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あっちを飛ばないかな〜と思っていると、期待通りビッグタイアモンドが西に抜けてターンして来た.。1999年ストックトンにて。 |
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カリフォルニアは昼・夜の温度変化が激しい。 昼間は半袖だったが、フリースを着込んで撮影を続ける。 露出は空が−1になるようマニュアルで設定する。 ピントはオートフォーカスで機首のライトを捕らえる様にする。 寒さと暗さへの挑戦、それがナイトショーだ。 1999年ストックトンにて。 |
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明日、明後日の昼間のショーも楽しみにしています。 1999年ストックトンにて。 最後に: スノーバーズのプログラムはここ数年で結構変化している様です。私自信ブルーエンジェルスやサンダーバーズ程の回数は見ていません。また、スノーバーズの演技は間が殆ど空かず、メモを取る余裕も無いので演技内容や順序を紹介出来る程の資料がありません。 従ってここで紹介した写真の順番に演技が行われる訳ではありません。また、編隊バリエーションが非常に豊富でここでは紹介し切れていません。ご了承下さい。 |
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